529【何すりゃいいのさ、思案橋‼】
昭和の人間は、貧乏性が多い。だからいつもじっとしていられない。
いつもけちけちしてゆとりがなく、時間や金銭などをゆったり使うことなど出来ない。
言ってみれば“貧乏症”だ。性格の問題ではなくれっきとした病だ。
少しくらい倦怠感があっても、少しくらい体調が優れなくても、
少しもじっとしていられない。・・・そういう宿命の病だ。
もちろん、昭和の人がみんなそういうわけではない。
かといって、そういう人がみんな昭和の人とは限らない。
・・・しかし、そういう人は少なからずおわします。
食後にTVなんか見ていて、急にスイッチが入り「ああ!こうしてはいられない」と、
いきなり立ち上がり、ソワソワと玄関を開けたりする。
「こうしてはいられない」とは思ったものの、「どうしたい」とは思い浮かばない。
・・・ただただ、「こうしてはいられない」のだ。
玄関を開け外を見回し、「あっ! 雨だ‼」そう脳が理解すると安心する。
「な~んだ、雨だ。雨じゃあ仕方ない。何にも出来ない。」・・・と、自分を納得させる。
仕方なく部屋に戻る。・・・そして、またまた辺りを見回し始める。
「あっ! あれをしなくちゃ。いや先にあれをしておかなくっちゃ。」と、錯乱する。
気が付けば、整った部屋は、物で散乱しており、
「アレ! どうしたんだ。このテイは?」と、自分がやったことを忘れあきれ返る。
そして、「ああ! やることが見付かった」と、ホッとしせっせと片付け始めるのである。
昭和の人は単純だ。こうと決まれば止まることを知らない。猪突猛進だ‼、
・・・振り返ると、そこに昭和の人がいる。