癌と付き合う Simojiさん(折々の想い)

お役に立つかどうかは分かりませんが、折々の想いを

61.【少しずつ・・・少しずつ・・・】

 

気心腹人己

気心腹口命 ♡易なれど、行うは難し。・・・されど、阿修羅界?

 

 

 最近、プルッ、プル!と首と頭を振っていたら、

中身がみ~んな飛び出して、空っぽになってしまった。

 こうなると、不思議な世界が動き出す。

時計が、コチ・コト・コチと反対に回りだしたり、

星が、チカ・テカと光ったかと思うと、

ス~~~ッと舞ってみたり、

玄関のドアノブが、ガタ・クチャと鳴ったかと思うと、

足音だけが、ヒタ・バタと不規則に動き回っている。

 

 よ~~~く見ると、何かがいるようだが、ハッキリしない。

しばらく考えて、ようやくこれはイカンと思いつき、

脳波を別回路に切り替えようと、

ふらつく足に、「準備はいいか」と言い聞かせ、

タンタカ・タッ・タッ・タァ~ンと外に出た。

ウワッ! まぶしい。まぶし~いックション!

薄暗い部屋の明かりに慣れた瞳孔が、

照度合わせに一気にしぼむ。

 

 ボ、ポョ~~~ンと、温かい春の空気に誘われて、

庭の雑草が、もうすっかりムクムクと伸びている。

「我、知らずのうちに、よう伸びたもんじゃ」などと、

独り言を言いながら、座り込み、手を伸ばす。

 彼らが、綺麗な花を咲かせることは、知っている。が、

場所を、キッチリと弁えてもらわねば困る。

 

 座って、しばらくして、気が付いた。

このままでは、膝が、足が、腰が持たぬ。

 ソォ~~~ット、ユルリと立ち上がり、

座椅子を求めて、物置小屋へ。あった。あった。

パイプに布を張った、アウトドア用の小さな椅子。

 

 ヒョイと引っ張り出して、カラコロと引きずって定位置へ。

ドッコイショと腰かけて、再び、ヒョコ、ヒョコと草を抜く。

 またまた少しして気が付いた。今度は、鼻が鳴っている。

ソロリ、ヒョロリと心地よくとも、花粉交じりの悪戯な風音。

今日のような穏やかな風も、

遠い山から、近くの山から花粉を運ぶ。

 

 ヨロリ、ヒョロりと立上り、退散、退散と気は急くが、

そうは問屋が卸さない。しびれた、足がしびれた。

 オイッチニ、オイッチニと声を掛けて、補って、

ひとまず庵に逃げ込んで、フーハ―、フ―ハーと深呼吸。

やっぱり花粉には叶わぬ、我が旧友のアレルギー。

 

 ティッシュを、ビヨン、ビヨンと引き抜いて、

鼻を拭って、またまた深呼吸。

戦意喪失。戦線離脱。戦闘不能

 庭の除草には、失速せぬよう長丁場で挑ばねば。・・・

チョットの角度で墜落する。ナガ~クかけねば駆逐出来ぬ。

何かとの戦いに、何かとの付き合いに、

似ていますよねぇ。・・・

 

 サア、また明日のエネルギー補給。精神力のストック。

地球の生命力。太陽のエネルギー。宇宙からのテレパシー。

 Simijiさんよ! Simoji さん・・・

もう一度、外に出てチャレンジするか?

いや、止めておこう。今日はこれまでにしておこう。

 

 「気心腹人己」、「気心腹口命」。心して、・・・心して。

 

 少しずつ・・・少しずつ・・・

 

 少しずつ・・・少しずつ・・・