49.【春に、恋をしてみませんか?】
♡ 春がそこに・・・
散歩に出てみた。
時折、吹く、まだ荒々しい春の風に交じり、
春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)で、
まったりと微睡(まどろ)んだ香がする
麗(うらら)かな風に流されながら、歩を進めると、
目に入って来たのは、土筆(つくし)であった。
「澪標(みおつくし)」とも、「突く突くし」とも言い、
船が港へ入る通路を示した杭や、
土に刺した筆のような姿を成し、
その生命力は絶大で、採っても採っても直に生えて来る。
その繁殖力は旺盛で、根から生まれ、胞子から生まれる。
何という力強く、粗暴とも言える荒々しい族だ。
袴(はかま)を着け、Bowler hat(山高帽)を被り、
凛々(りり)しく、シュルシュルッと伸びたスタイル。
食用にもなり、生薬にもなる正に万能な奴らだ。
しかし、“万能足りて一心足らず”《末尾参照》な面もある。
それは、万能(まんのう)を用いて、
引っこ抜いても、引っこ抜いても、生い茂る頑固さだ。
・・・・・?
何故、土筆ごときに、こんなに行数を割くのか、
きっとそれは、「嫉妬」からに違いない。
生命力と言え、荒々しさと言え、凛々しさと言え、
万能さと言え、頑固さと言え、
どれ一つ取っても、叶うものはない。
いや、叶うものがあるとすれば、
それは情熱というエネルギーだ。
奴らは、自然体で生きている。
だが、こちらには、自然体の中に情熱がある。
生き抜こうとする、もがき、あえぐ、情熱がある。
激しく高まり、燃え上がる、強く溢れる情熱がある。
そして「ねばならない(=have to)」現実と意欲がある。
情熱は強いものだ。
あらゆるこの世の束縛を、引きちぎるものだ。
勇気を持て、意欲を持て、そして情熱を持て、Simoji よ‼
それにしても、もうすぐ春ですねぇ~
そして・・・
“春一番”の曲が聞こえて来ませんか?
♪ 雪が溶けて川になって 流れてゆきます
つくしの子がはずかしげに 顔を出します
もうすぐ春ですねぇ ちょっと気取ってみませんか
風が吹いて暖かさを 運んで来ました
どこかの子が隣りの子を 迎えに来ました
もうすぐ春ですねぇ 彼を誘ってみませんか
泣いてばかりいたって 幸福(しあわせ)は来ないから
重いコート脱いで 出かけませんか
もうすぐ春ですねぇ 恋をしてみませんか
・・・・・!
そうだ! 恋をしに出かけよう‼
参考:
“万能足りて一心足らず”( ばんのう たりて いっしん たらず)とは、
「あらゆる技芸に熟達しているが、心にまことが欠けている」という意。
(By大辞林)