癌と付き合う Simojiさん(折々の想い)

お役に立つかどうかは分かりませんが、折々の想いを

199.【それなのに、・・・それなのに!】

 

f:id:simojisannoomoi:20200728185042j:plain ♡ ♪新しい朝が来た。希望の朝だ。(藤浦洸氏作詞・藤山一郎氏作曲)

 

 何分くらい聞こえているのだろうか?

甲高い(かんだかい)金属音と、ノイズ音と、

噎ぶ(むせぶ)ような音が混ざり合い、

湿った空気に伝わって、途切れることなく聞こえて来る。

 本当は、と言うよりは、

単音はあの「ヒガヒガヒガ」という音、いや声だ。

 もう、お分かりだろうと思うが、

あの「ヒグラシゼミ」の泣き声だ。

 

 この泣き声、片手や両手の限りではない。

それこそ、何百匹という単位かもしれない。

 このセミたちが一斉に鳴く。

すると鳴き声は絶えることなく、

ヒガヒガでなく、

おどろおどろした、妙に不気味な声に変化する。

 

 その声が、朝焼けの重い空気に伝わって、

どこからともなく響き渡る。

 ヒグラシは漢字で「日暮」と書く。

文字通り夕方に鳴くのかと思ったら、朝にも鳴く。

 この朝に鳴くことが、また奇妙な気分にさせているようだ。

 「朝焼けの日暮」やはりどう考えても、

悩まし気であることは確かだ。

 

 そうそう、ヒグラシは「カナカナ」と鳴くと言われるが、

この地方では、「ヒガヒガ」と鳴く。

 もっともそう聞こえるのは、私だけかもしれないが?

この「ヒガヒガ」が、

日が暮れるというイメージ音と、化したのかもしれない。

 

 しばらく鳴き続けると、

その声は、少しずつ、少しずつ、萎(な)えていく。

 それは、耳が慣れることとは違い、

自然と鳴くセミが少なるように、

段々と、段々と、遠ざかって行く。

 やがて、こっちでザワザワザワ、あっちでザワザワザワ。

そして、こっちでヒガヒガヒガ、あっちでヒガヒガヒガ。

 ・・・・ヒガ・・・ヒガ・・・ヒガ・・・

 

 とうとう、その声が聞こえなくなる!

時は、午前4時54分・・・

 

 ・・・そして、静寂が戻った。一日が始まる‼

 

 あのね! このね! このセミの声。

夕暮れの杜の中で聞いたりすると、

結構、趣があったりするんですよ。

 一日の終わり。

今日も頑張れたなぁなんて、ホッとしたり、

明日のための元気が湧いたり、・・・ヒガヒガヒガ‼

 

 どんなに良い声や、どんなに元気付けてくれる音でも、

人によっては、あるいは、度を過ぎると、

それは不快感でしかなくなるんです。

 

 ・・・気をつけましょう。人の気持! 人の想い‼